3.(限局性)学習症 / 学習障害(LD)
私大宮 樹はLDの当事者でもあるんですが、書くことが苦手な方の場合、会議中や授業中にメモを取るのに必死になって会議や授業の内容がわからなくなってしまうなど、仕事や日常生活に困難が生じることがあります。またLDに関しての情報が非常に少ないため、私大宮 樹がLDの当事者経験として、掲載させていただきました。
LDに関しては、学生の年齢時の障害特性の例が多いことから、大人になってもLDを持っている人がおられましたら、私も興味がありますので、遠慮なくメールにてお問い合わせ頂けると幸いです。LDの当事者経験や知識を、第三者に知っていただくために、随時このページの更新をさせていただきます。
発達障害者支援法とアメリカ精神医学会のDSM-Ⅳ-TR以降にあるLDの記述
自閉症スペクトラム(ASD)とほぼ同様なのですが、当時(2005年に発達障害者支援法が制定されるまで)最初に発達障害と診断されなかった人が、「知的障害を伴わない自閉症又はアスペルガー症候群+(限局性)学習症」だと言われています。
現在LDの傾向が見られた場合は、発達障害のLDの診断が下りるのです。ただ、ASDや注意欠如・多動症(ADHD)と少し違うのは診断された年齢が20歳前かどうかにあります。20歳以上になった人が発達障害の診断が下りる場合は、ASD又はADHDが多いです。
なぜかというと、人間の身体や精神は20歳で確立するため、現在の法律とDSM-Ⅳ-TR以降では20歳以上の患者の場合、主治医や心理カウンセラーから、患者の成育歴を聴きデータを解析した結果と判断基準を基に診断可否が決められているのです。つまり、法律やDSM-Ⅳ-TR以降に「20歳前まで」と記述していない理由は、患者の成育歴を紐解かないと、学生時にLDの傾向があったのか判断ができないからだと考えられます。
LDの診断が下りるのは20歳前までだけど極めて少ない
冒頭でも記載しましたとおり、発達障害の診断に至るまでには、知的の水準を表す数値である知的指数(IQ)を、東大式エゴグラム検査により、IQ70~84の「境界線知能」の人が該当され、中には境界線知能の中には発達障害の診断が下りる場合があります。LDは、全般的な知的発達に遅れはないのに、「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」、「計算する」、「推論する」などの特定の能力を学んだり、行ったりすることが極端に苦手な神経発達症(発達障害)です。
文部科学省の行った調査では、小学校・中学校において学習面で著しい困難のあった児童・生徒の割合は6.5%と報告されています。
主に小児から学生にかけて現れることが多く、以下のものが欠けています。
- 注意力
- 記憶力
- 論理的思考力
小児から学生は、以下のように学業成績にも影響が出ます。
- 知的には標準またはそれ以上
- 学力の著しい偏り(読み・書き・計算などの一部だけができない)
ディスレクシア(読み書き障害)・ディスカリキュリア(算数障害) - 極端に不器用(発達性強調運動障害)な場合
また、LDを世界の人口が多い順で表すと、境界線知能 > ADHD > ASD > LDというように、極めて少ないのです。
学習障害の人の詳しい例
厚生労働省HP:発達障害の理解 American Psychiatric Association: DSM-5精神疾患の分類と診断の手引.医学書院.2019.p.10-13を参考に作成https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633453.pdf
聞く
- 聞きもらしや聞き違いがある
- 指示の理解が難しい
- 話し合いの流れについていけない
話す
- 適切な速さで話すことが難しい(たどたどしく話す。とても早口)
- 部分にとらわれて全体として捉えることが苦手
- 言葉につまる
- 筋道の通った話をするのが難しい
読む
- 読む(音読)のが遅い
- 読み飛ばしや同じ個所を繰り返し読むことがある
- 文章の要点を正しく読み取ることが難しい
書く
- 書いた字がとても読みにくい
- 文字や句読点を正しく書けない
- 誤字・脱字が多い
- 決まったパターンの文章しか書けない
計算する
- 計算ができない、とても時間がかかる
- 文章問題が苦手
- 数の大小がわからない
- 九九が覚えられない
推論する
- 単位の理解が苦手
- 図形や図を描くことが難しい
- 因果関係を理解するのが難しい
LDの人の多くはASDを併せて持っている
先ほどと同様にLDは、全般的な知的発達に遅れはありませんが、「読む」、「書く」、「計算する」、「推論する」という特定の能力を学んだり、行ったりすることが極端に苦手な神経発達症(発達障害)です。自閉スペクトラム症(ASD)を見た方は覚えていますか?ここで注目するところは、「読む」、「書く」。つまりASDにある「社会性・コミュニケーションの難しさ」の特性です。注意欠如・多動症(ADHD)を持っている人と比べて、LDの人は自閉スペクトラム症(ASD)を併せて持っていることが多いのです。ASDを併せてLDの特性があると、「聞く」、「話す」ところで難しいASDの人の倍以上の難しさになるのです。
(限局性)学習症 / 学習障害の強みと配慮例
(限局性)学習症 / 学習障害の人は、得意だったり覚えるのが早かったりして強いといった特徴があるため、独占業務(資格が必要な1人作業や技術的な1人作業)に向いています。結果、会社や学校では「あなたがいないと困る」存在となりやすいです。
LDの人を配慮する場合の例として、頭の中で計算ができない場合は、電卓というツールが必要になります。
また、自分に合った方法・手段で行動することができるASDのみの場合は、物がどこにあるのかを見える化する方法・手段はありますが、それでも難しい場合は、主に決められた数を覚えられなかったり、漢字が読めなかったりしていることが多いため、決められた数を事前に記録したり、漢字にふりがなを付加したりするツールが必要にあります。
つまり、自分に合った方法・手段であるASDの他に、加えてツールという合理的配慮がなければ、自身の能力を発揮することができなくなるわけです。
上から目線になりますが私の場合は、相手が言っていることを可能な限り復唱と注意点を聞き出し、文章を組み立てたら相手に確認させるという合理的配慮させることで、自分だけでなく相手の発言による責任の重さに慣れてくるようになるからです。
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