5.発達障害の診断

  1. 目次
  2. 1.自閉スペクトラム症(ASD) 2.注意欠如・多動症(ADHD) 3.(限局性)学習症 / 学習障害(LD) 4.その他の発達障害 5.発達障害の診断 6.発達と知的の共通と相違 7.発達と精神の共通と相違(二次障害) 8.発達障害とPTSDの関連性
 知的障害(知的能力障害/知的発達症)の診断も含め、発達障害の診断に至るまでの流れには、3パターンがあります。

1.赤ちゃんが生まれた1年半に、障害認定が下りるパターン

 赤ちゃんが1歳半後に、病院で幼児検査が3年間行われます。主に赤ちゃんの健康状態を総合的に確認する制度(幼児の法定健診)です。幼児の法定健診は、1歳児半検診と3歳児検診があり、「母子保健法」という法律により、市区町村にて実施が義務付けられている「法定検診」があります。

 そのうち1歳児半健診では、赤ちゃんの体と心の両方の発達の様子を確認することが目的とされています。その年齢に達する時期には、運動機能が発達してひとり歩きができるようになったり、言葉を盛んに話すようになったり、感情表現もできるようになったりと、心身の発達がより著しく現れてきます。このため、1歳半より前の健診では赤ちゃんの体の様子の確認が主な目的なのです。
  またこの時期には、脳性麻痺や精神遅滞、ASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害やてんかん、視覚や聴覚の異常などが発見されやすいとされています。このため、これらの疾患や異常を早期に発見し、適切な治療や支援につなげることも1歳半検診の大切な目的です。

  さらに、1歳半健診に限らず乳幼児健診のもう一つの大切な目的は、赤ちゃんの様子や生活習慣などについて、保護者の方が気になっていることに対して助言や情報提供をおこなうことです。
  乳幼児健診では、医師や保健師、栄養士などが保護者の方の育児相談に応じてくれます。つまりその時期で健診を受けた場合、1歳児半で発達障害や知的障害の診断が出されるのです。

2.知的障害を伴わない自閉症、アスペルガー、小児期崩壊性障害、ADHD、LDいずれかにより1歳児半健診で障害認定が下りず、20歳前に障害認定が下りるパターン

 2005年に「発達障害者支援法」が施行されるまでに1歳児半健診を受けた幼児は、以下のようにいずれかの診断はされたものの、知的障害の診断が下りなかった成人が存在します。そのうち、以下の傾向を持っている人は、過去に義務教育まで教育相談を受けて特別支援学級に入っていたり、高校や大学、専門学校に通っていたりしていたかと思います。

 この時に進学や、進級、就職する人が、心療内科や職業適性検査を受けたことで発達障害の診断が下りる可能性があります。
 また1歳児半健診も含め20歳前に障害認定が下り、精神障害者保健福祉手帳を取得すると、18歳から課される国民年金保険料の免除や都道府県民税、市町村民税の免税の他、障害基礎年金の受給も可能になります。

3.知的障害を伴わない自閉症、アスペルガー、小児期崩壊性障害、ADHD、LDいずれかにより1歳児半健診で障害認定が下りず、又はそのような診断がなく、20歳以上で障害認定が下りるパターン

 これも20歳前の障害認定のパターンと同時に、20歳以上で障害認定になるパターンは最も多いです。精神障害者保健福祉手帳を取得すると、18歳から課される国民年金保険料の免除や都道府県民税、市町村民税の免税の他、障害厚生年金の受給額が、障害基礎年金の1.25倍の受給が可能になります。

精神障害者保健福祉手帳のメリット

 精神障害者保健福祉手帳を所持していると下記のような場面で、料金が安くなったり、無料になったりしてくれるなどの制度があります。なお、地方によって実施していない場合があるので、調べてから利用されるのがおすすめです。

4. その他の発達障害 発達障害とは? 6. 発達と知的の共通と相違