1.自閉スペクトラム症(ASD)

  1. 目次
  2. 1.自閉スペクトラム症(ASD) 2.注意欠如・多動症(ADHD) 3.(限局性)学習症 / 学習障害(LD) 4.その他の発達障害 5.発達障害の診断 6.発達と知的の共通と相違 7.発達と精神の共通と相違(二次障害) 8.発達障害とPTSDの関連性
 世界中の発達障害者の40%以上と言われている自閉スペクトラム症:Autism spectrum disorder(ASD)。

 自閉スペクトラム症(ASD)は、社会性・コミュニケーションの難しさ、パターン化した行動や興味・関心の偏りなどを特徴とする神経発達症(発達障害)です。
 人口の約1%が該当し、男性が女性の4倍多いとされています。
 ※大人の神経発達症.jp 心の地図の歩き方HPより

 当時(2005年に発達障害者支援法が制定されるまで)最初に発達障害(特に自閉スペクトラム症)と診断されなかった3歳児の多くは、知的障害を伴わない自閉症(平均以下の知的機能(日常生活を送るうえで必要な能力)、アスペルガー症候群、社会的(コミュニケーションスキルなど)および実用的な領域における適応行動の不全に限る)いずれのものだと言われています。

発達障害者支援法 施行時の自閉スペクトラム症の詳細

 2005年の発達障害者支援法 制定により、以下の症状・障害いずれのものが障害認定となりました。  発達障害支援法が制定される以前までは、自閉症やアスペルガー症候群と呼ばれていた障害がこれに含まれます。
 広汎性発達障害は、施行当時では詳しい症状が不明確だったため、自閉症、アスペルガー症候群の他、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性障害、レット障害を含め5つに区分されていた。

 2013年に改訂されたアメリカ精神医学界の診断基準DSM-5では、レット障害を除く4つ(自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性障害)が「自閉スペクトラム症 / 自閉症スペクトラム障害(広汎性発達障害とはほぼ同義)」として1つに統合されました。

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厚生労働省HP:発達障害の理解 American Psychiatric Association: DSM-5精神疾患の分類と診断の手引.医学書院.2019.p.4-7より
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633453.pdf

社会性・コミュニケーションの難しさ

興味・関心の偏り

感覚の過敏さ・鈍感さ

図表でわかりやすくすると

DSM-5
(2013年)
自閉症スペクトラム
(広汎性発達障害とほぼ同義 ※特定不能も含む)
DSM-Ⅳ-TR
(2000年)
自閉症
(3歳まで)
アスペルガー症候群
(3歳まで)
小児期崩壊性障害
事象および症状が見られ始める年齢

社会性・コミュニケーションの難しさ

言葉の発達の遅れ あり ない ない
コミュニケーションの障害 あり ない あり
対人関係
社会性の障害
あり あり 対人関係のみあり

趣味・関心の偏り

パターン化した行動 あり あり あり
こだわり あり あり ない
興味・関心の偏り あり あり なくなる
不器用(発達性協調運動障害)
(言語発達に比べて)
ない ない あり

感覚の過敏さ・鈍感さ

敏感 あり あり あり
鈍麻 あり ない あり
平衝感覚不全 ない ない あり
睡眠の異常 あり ない あり
過集中 あり あり ない
記憶力 あり あり あり

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自閉スペクトラム症の強みと工夫例

 ASDの人は、「親密なつきあいが苦手」「人と共感しない」「冗談やたとえ話がわからず文字通りの意味に理解する」「会話が一方的である」「急な予定変更に混乱する」「融通がきかない」などが指摘されやすいといわれます。仕事が臨機応変にこなせなかったり、対人関係に悩んだりすることもあります。
 知的能力障害(知的障害)やADHD(注意欠如・多動症)などの特性を併せ持つこともあり)、日常生活、家庭、職場などで困難を抱え、精神的な不調を伴う(二次障害)こともあります。
 主に発達障害の人が多いのは、ADHDとASDが主要な疾患です。

 発達障害者支援法が制定されるまで、知的障害を伴わない自閉症やアスペルガー症候群は、知的能力と知的発達により適応行動に困難があって、かつこだわりが強い精神の遅れがある症状が成人になるまでつづき、その後回復すると言われていました。とろが、18歳になっても知的障害を伴わない自閉症やアスペルガー症候群が現れていたのです。
 しかしこだわりが強いといった特徴があるため、1から10まで決まったことがあれば集中できる強い面では、簡単な1人作業に向いています。でもハッキリ言うと、この世界では「1000人いれば1000人の違いがある」と言うように、「自分主体でみんなは動いてくれる」や「誰一人も接しない場面は全て」という答えは存在しません。だからと言ってこの世界に1人作業がないというわけではなく、どこかしら1人作業はあって、一人ひとりと共同で作業しているため、指示・質問・注意点を人から聞くことと、相手に報告・連絡・相談、そして確認することで、流れが成り立っているです。

 ASDの人は、あいまいな指示やルール、自分の経験と多少異なったときなどに対し、その人や場合にとっては自分で行動するのが難しいことも少なくありません。その場合ASDの人の例として、その人と同じ障害を持っている相手だけでなく様々な人と接し続けたり、多少異なった経験などをしたりすることによって、あいまいな指示やルールなどに対し、自分に合った方法・手段で行動することができるようになります。

発達障害とは? 2. 注意欠如・多動症(ADHD)