障害者と世の中事情 01.発達障害ではない人がよく誤解していること

  1. 目次
  2. 01.発達障害ではない人がよく誤解していること 02.労働者による勤続阻害の要因 03.メディアが言う人手不足の要因
 しかし経緯からみると、発達障害者支援法が施行された2005年、知的障害者福祉法が施行された1960年、精神保健福祉法(当時「精神衛生法」)が施行された1950年の差は半世紀以上も空いているのです。

 そこで、私大宮 樹はこれまで障害者と働いたことがあるなかで、特に気になったのが「疲れる振りをしたり、月1回休んだり、月1回の体調不良で早退したり」して、H社が雇用している知的障害者と、N会社が雇用している精神障害者でした。これに対して社員は「最低月1は休むし、よう疲れるし、アテにでけへん!」と言っていました。

 ここまで調査した限り、発達障害ではない人の多くを占めていたのが、「発達障害は知的障害」だから知的障害と同様の対応をすればいい」とか、「発達障害は精神障害」だから精神障害と同様の対応をすればいい」と誤った判断をしていたと思われます。

 しかし、発達障害を持つ当事者の会(自助会)をやっている人の半数以上は、「発達障害を健常者に理解させるのは不可能で、現在的に理解するのは難しい。だから口頭でも書面は難しいから、健常者が肌で感じなければ理解できない。」という回答でした。

 結果、発達障害者の雇用と認知度を低迷にさせている要因なのです。

障害者差別解消法

 国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、政府は、「障害者差別解消法」を2016年から施行され、不当な差別的取扱いを禁止し、合理的配慮の提供を義務付ける改正を2024年に行われました。

日本語は「障害」でも、英語では「disorder」と「disability」がある

 精神障害:Mental disorders発達障害:Developmental disordersの共通点を見ると、英文「disorders」になっています。しかし、精神障害の詳細を調べると同時に「単語」を訳するとすべて「disorder」に対し、発達障害の障害を調べると同時に「単語」を訳すると以下のようなものが出てきました。

障害名 自閉スペクトラム症(広汎性発達障害とほぼ同義) 注意欠如・多動症
英訳 Autism spectrum disorder Attention Deficit Disorder
詳細 自閉症 アスペルガー症候群 小児期崩壊性障害 注意欠如・多動性障害
英訳 autism Asperger Syndrome Childhood Disintegrative Disorder Attention Deficit Disorder

障害名 (限局性)学習症 / 学習障害
英訳 Learning disabilities
詳細 読字障害 書字障害 算数障害
英訳 Dyslexia Dysgraphia Dyscalculia

 このように日本語を英訳すれば、障害の特性の違いが解るようになるわけです。発達と知的の共通点発達と精神の共通点(二次障害)を見比べると、「発達障害は精神障害」だから精神障害と同様の対応をすればいい」とか、「発達障害は知的障害」だから知的障害と同様の対応をすればいい」と、簡単に括るという認識が誤っていることに理解できるはずです。

ニューロダイバーシティとは?

 Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを、多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方です。 特に、発達障害において生じる現象を、能力の欠如や優劣ではなく、『人間のゲノムの自然で正常な変異』として捉える概念)でもあります。

ゲノム:遺伝情報
大人の発達障害ナビWebページより 特集 ニューロダイバーシティ 脳の多様性を考えてみよう

障害者と世の中事情 02. 労働者による勤続阻害の要因