障害者と世の中事情 01.発達障害ではない人がよく誤解していること
- 精神衛生法(1988年「精神保健法」改正)1950年施行
政府は、統合失調症、うつ病や双極性障害といった気分障害や、パニック障害といった不安障害、性機能障害、また薬物依存症といった物質関連障害など様々な症状を呈する状態に関して加えられ、「精神保健福祉法」として1995年に改められました。 - 発達障害者支援法(2005年施行)
政府は、知的障害を伴わない自閉症、加えてアスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害に関して施行されました。 - 障害者雇用促進法(2013年施行)
政府は民間企業の従業員を40人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければならないこととされており、2018年に身体・知的障害者に精神障害者が加えられ、毎年、法定雇用率の算定基礎として計算される改正が行われています。
そこで、私大宮 樹はこれまで障害者と働いたことがあるなかで、特に気になったのが「疲れる振りをしたり、月1回休んだり、月1回の体調不良で早退したり」して、H社が雇用している知的障害者と、N会社が雇用している精神障害者でした。これに対して社員は「最低月1は休むし、よう疲れるし、アテにでけへん!」と言っていました。
ここまで調査した限り、発達障害ではない人の多くを占めていたのが、「発達障害は知的障害」だから知的障害と同様の対応をすればいい」とか、「発達障害は精神障害」だから精神障害と同様の対応をすればいい」と誤った判断をしていたと思われます。
しかし、発達障害を持つ当事者の会(自助会)をやっている人の半数以上は、「発達障害を健常者に理解させるのは不可能で、現在的に理解するのは難しい。だから口頭でも書面は難しいから、健常者が肌で感じなければ理解できない。」という回答でした。
結果、発達障害者の雇用と認知度を低迷にさせている要因なのです。
障害者差別解消法
国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、政府は、「障害者差別解消法」を2016年から施行され、不当な差別的取扱いを禁止し、合理的配慮の提供を義務付ける改正を2024年に行われました。
日本語は「障害」でも、英語では「disorder」と「disability」がある
精神障害:Mental disordersと発達障害:Developmental disordersの共通点を見ると、英文「disorders」になっています。しかし、精神障害の詳細を調べると同時に「単語」を訳するとすべて「disorder」に対し、発達障害の障害を調べると同時に「単語」を訳すると以下のようなものが出てきました。
| 障害名 | 自閉スペクトラム症(広汎性発達障害とほぼ同義) | 注意欠如・多動症 | ||
| 英訳 | Autism spectrum disorder | Attention Deficit Disorder | ||
| 詳細 | 自閉症 | アスペルガー症候群 | 小児期崩壊性障害 | 注意欠如・多動性障害 |
| 英訳 | autism | Asperger Syndrome | Childhood Disintegrative Disorder | Attention Deficit Disorder |
| 障害名 | (限局性)学習症 / 学習障害 | ||
| 英訳 | Learning disabilities | ||
| 詳細 | 読字障害 | 書字障害 | 算数障害 |
| 英訳 | Dyslexia | Dysgraphia | Dyscalculia |
- disorder
疾患、病気、障害、身体の一部が正常に機能しなくなる精神的または身体的な病気やけが
例:精神障害、発達障害 - disability
身体的もしくは精神的に欠陥があるゆえに行うことが不可能である状態
例:身体障害、知的障害、学習障害(発達障害の分類)
ニューロダイバーシティとは?
Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを、多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方です。 特に、発達障害において生じる現象を、能力の欠如や優劣ではなく、『人間のゲノムの自然で正常な変異』として捉える概念)でもあります。
ゲノム:遺伝情報
大人の発達障害ナビWebページより 特集 ニューロダイバーシティ 脳の多様性を考えてみよう
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